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もしものことを考え始めると止まらない。そう、私はネガティブな想像力が尋常じゃないほどたくましいのだ。
昨日は、もしもお金がないのに喪主になってしまったらどうしようと考え始めたら眠れなくなってしまった。
いや、お金はある。親も元気だ。しかし「もしも」は、いつどこにだってある。
私はたまらず、葬祭業を営むブライト信州さんのドアをノックした。お話してくださったのは、「一級葬祭ディレクター」の資格を持つベテラン担当者。冠婚葬祭に携わって15年とのこと。ちなみに、一級葬祭ディレクターは、葬儀の知識や技能に関するエキスパートに与えられる、厚生労働省認定の資格だ。
葬儀費用は親の預金から堂々と引き出せる
-今のところ予定はないんですが、親が亡くなって自分が喪主になってしまったときにお金がなかったらどうしようと思って。
担当:皆さん、予定はないんですよ(笑)。でも、もしお金がないのに喪主を務めることになったら、いち早く親御さんの口座からお金を引き出すことをおすすめします。亡くなった方の口座は凍結されてしまうので。
-厳密には子どもと言えど引き出すのはNGのような気がするんですけど、そんなこと大っぴらに言っちゃっていいんですか?
担当:「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」という決まりがあって、相続人であれば一定額を他の相続人の同意なく引き出すことができるんです。※
-なんと! じゃあ堂々と金融機関で引き出しちゃっていいんですね?
担当:必要書類も相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書くらいで、そこまでハードルは高くありません。平均1週間くらいで引き出せます。
-あれ? 1週間だと葬儀が終わってしまっているような…。
担当:葬儀会社によってお支払いのタイミングは違いますが、支払い期限は一般的に1週間から10日くらいが多いです。
-どうにかなりますね。ちなみに一定額っていくらですか?
担当:上限は1口座ごとに150万円です。細かく言うと、預金額の1/3までの金額に法定相続率をかけた額で、上限が150万円。法定相続率というのは、たとえば配偶者と2人のお子さんがいれば、配偶者1/2、お子さんそれぞれ1/4ずつというように法律で決まっています。
-計算はややこしそうだけど、とりあえず150万円あればどうにかなりそう。
担当:ただ、そのためには、どこの金融機関に口座があるか、それぞれの概ねの残高など、お金を引き出すために必要な情報が必要になります。
-私は、親のも妻のも、まったく知りません…。
担当:もしものときのために、そうした情報を夫婦や親子で共有しておくことが備えの第一歩ですね。
-なるほど。早速、僕の情報は親と妻にすべて共有します! ネガティブシンキングでよかった! あれ? でも、亡くなった親もお金を持っていなかったら?
担当:それはまた別のテーマでお話ししますね!
【まとめ】
・亡くなった親の預金は、1口座150万円まで堂々と引き出せる
・葬儀費用の支払いは、一般的に葬儀後1週間〜10日
・どの金融機関に口座があるかチェックが必要
記事監修
弁護士法人すそ花法律事務所
✍️書いた人
安斎 高志(あんざい・たかし)
コピーライター、編集者、映像ディレクター。合同会社案在企画室CEO(ちょっとイイこというおじさん)。二児の父。もしもに関する想像力のたくましさは極めつけの折り紙つき、かつ保証つきの太鼓判つき。