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ジャンキーな食べ物が好きだ。
味は濃い方がいいし、ボリュームは多いに越したことはない。わざわざ電車に乗り、2駅隣の「ラーメン二郎」に週2回ほど通っていた時期もある。「あぁ、こんな好きな食べ物を食べることが、仕事になったらいいなぁ」と、甘い考えが頭をよぎることも。
そんなとき、SNSを見ていて、気になる肩書きを見つけた。それが「B級フード研究家」。まさかジャンキーな食べ物を研究することを仕事にしている人がいるとは……!
驚きと羨ましさとともに「B級フード研究家」として活動する、野島 慎一郎さんに話を聞きに行った。
話し手:野島 慎一郎さん
ライター・漫画家・B級フード研究家。1980年6月17日生まれ 東京都清瀬市出身。WebニュースにB級フードのレシピを多数寄稿するうちに、B級フード研究家としての活動が増加。2018年に宝島社より『世界一美味しい「どん二郎」の作り方』を出版し、テレビやラジオに多数出演。
TVチャンピオン極「カップラーメンアレンジ王」出演し準決勝で敗退。2018年11月より週刊プレイボーイにて『野島慎一郎の激ウマ!!バカレシピ研究所』連載スタート!
見栄えは度外視しても、美味しければいい。それが“バカレシピ”
ーー今日もB級フードを食べるんですか?
野島さん:はい。これから近くのスーパーで食材を買って、夕方に“バカレシピ”を開発しようと思っています。
ーー“バカレシピ”?
野島さん:僕、カロリーがめちゃくちゃ高くて旨い料理のレシピを研究して、Webコンテンツとしてアップするのが仕事のひとつなんです。たとえば、豚ラーメンの恵方巻きとか。
野島さん:焼き団子のホットサンドとか。
ーーたしかにちょっと“バカ”っぽいですね。
野島さん:見栄えは度外視しても、美味しければいいんです。
ーーつくった料理は食べるんですよね?
野島さん:もちろん。豚ラーメンの恵方巻きとか節分におすすめですよ。めちゃくちゃ食べにくいけど。
ーーですよね。
実は、好きな食べ物は豆腐とサラダ
ーーでも、これほどのハイカロリーな料理を食べ続けるのって大変じゃないですか?
野島さん:そりゃ大変ですよ。健康診断を受けるたびに、中性脂肪がどんどん上がっています。
ーー数字に表れている……。毎日、どんな食生活を送っているんですか?
野島さん:でも、“バカレシピ”を開発するのは週に1回程度ですよ。
ーーあ、意外と少ないんですね。
野島さん:試作も合わせると、もう少し回数は増えるかもしれませんが、ただ決して毎日食べているわけではありません。
ーーよかった〜。食生活について少し心配しちゃいました。
野島さん:むしろ、豆腐やサラダが好きです。さっぱりしたものが食べたい。
ーーめちゃくちゃヘルシー(笑)。
野島さん:“バカレシピ”の開発以外にも、飲食店を紹介するWebコンテンツをつくることもあって。だから外食も多いんですよ。それに、カップラーメンをひたすら食べ続ける企画もはじめちゃったし。
ーーそれは、豆腐やサラダを食べたくなるでしょうね。
野島さん:それでも、豆腐麺をガッツリ仕様でアレンジしちゃうこともあるんですけど。
ーープラスマイナスゼロ(笑)。
バズった“バカレシピ”は書籍化も
ーー「B級フード研究家」とはいえ、意外と(?)健康も気にしていて安心しました。
野島さん:「B級フード研究家」というと、毎日B級フードを食べていたり、大食いだったりするんじゃないかと思われるんですよね。だから、イベントに登壇するときに差し入れをもらうんですけど、やっぱりガッツリしたものや大量の食材をもらっちゃう。でも、実際はふつうの胃袋を持った、ふつうの人なんですよ(笑)。
ーーそれでも、なぜB級フード研究家を続けているんですか?
野島さん:結局、楽しいんですよ。実は僕、もともとギャグ漫画家で。だから、いつもおもしろいネタを探しちゃうんですよね。そのあと、ギャグのようなおもしろいWebコンテンツを書きたいと思って、ライターになったんです。そして、グルメをテーマに、“おもしろ記事”を書こうとしている中でバズったのが「どん二郎」のレシピでした。
ーー「どん二郎」?
野島さん:つまり、日清食品のカップ麺「どん兵衛」をベースに、ハイカロリーで熱狂的なファンを持つ人気ラーメン店「ラーメン二郎」のテイストを再現したメニューのこと。そのまま書籍化も実現されました。
ーー書籍にも!
野島さん:「どん二郎」がバズったこともあり、“二郎系”のラーメン店によく足を運ぶようにもなりましたね。
ーー「B級フード研究家」としての自覚が芽生えはじめた……!
野島さん:今はスーパーに行っても「これを組み合わせたらおいしいかな、おもしろいかな」という観点で食材を眺めています。それがとても楽しいんですよね。
ーーまさに「メシを食う」ことが仕事になっている。これからも健康に気をつけながら、楽しんでください!
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取材協力:野島 慎一郎 Shinichiro Nojima
✍️書いた人
小林拓水(こばやし・たくみ)
「toishi」という屋号で活動しているコピーライターです。1990年生まれ。長野と東京を行ったり来たりしながら暮らしています。パンが大好き。