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授かり婚も当たり前になりつつある。娘の親として私も、愛し合う二人がともに生きていくことを決めたのなら特に抵抗はない。
しかし、もしも授かり婚だからという理由で結婚式を挙げない、ということになってしまったとすればそれは切ない。そう、私はヴァージン・ロードを歩きたいのだ。
妊娠中に結婚式を挙げるには、何をするべきで何に注意するべきか。娘はまだ法的に結婚できる年齢ではないが、備えるに越したことはない。
私は、長野市にある結婚式場「テラスグランツ」のウェディングプランナー・寺田朱李さんのもとを訪ねた。
マタニティ・ウェディングに制限は少ない
–マタニティ・ウェディングって増えてるんですか?
寺田さん:当式場ではコロナ前はだいぶ多かったですね。コロナ以降でだいぶ減りましたが。
–非マタニティ・ウェディングと比較して、制限はありますか?
寺田さん:体調次第ではあるものの、挙げられる方にとってはほぼ変わらないと思います。
–素朴な疑問がたくさんあるんですが、たとえばウェディングドレスってウェストがタイトなイメージですけど、着られるんですか? 専用のものがあるとか?
寺田さん:今はフリーサイズのドレスがたくさんあります。ウェストが調節できるタイプのものですね。半分くらいは、そうした調節機能がついている印象です。
–そうは言っても、お腹が膨らんでいるとなると、フォルムを気にする人はいますよね?
寺田さん:そうですね。なので挙式を早める方もいらっしゃいますよ。どうしても着たいドレスがあるという方も結構いらっしゃいますし。
–ちなみに、結婚式って「挙げよう」と思ってから最短どのくらいで挙げられるものなんですか?
寺田さん:会場さえ空いていれば、1ヶ月あれば何とかなるんじゃないでしょうか。ただ、ゲストの皆さまの都合がつくかは別の問題ですが…。
–確かに。1ヶ月前に招待が来たことはないですね…。
寺田さん:ちなみに、お腹が大きくなる前に、ということで元々の予定より早めることはできるのですが、お打ち合わせを進めてしまっているとキャンセル料はかかってしまいます。
–なるほど。まぁ、それは仕方ないですね。
最近の結婚式場スタッフは鍛えられている
–食事も変わらないですか?
寺田さん:生物(なまもの)やアルコールを避けるというのはもちろんありますが、これもゲストに妊婦さんがいることも多いので、いつも対応していることですね。
–最近はそういう対応もしてくれるんですね。20年ほど前の、僕ら世代の結婚式ではあまりなかった気がします。
寺田さん:そういう意味では、近年はお客様のご要望も幅広くなってきていますね。
–わがままを聞いているうちに鍛えられた感じですね。最近はアレルギーについてもほぼ必ず聞かれますし、本当にきめ細かくなった印象です。
寺田さん:確かに20年前となるともっと大雑把だったかもしれませんね。鍛えられてはいます(笑)。ただ、ご要望が幅広いとやらなきゃいけないことは増えますが、楽しいことも増えますよ。
–ポジティブ!
寺田さん:おめでたい席なんで、仕事に対しては常にポジティブです。
もともと結婚式は「どんと来い態勢」
–なんだか拍子抜けです。本当にほぼ変わらないですね。
寺田さん:そうですね。あとは、最近は新婦様が余興をしたりすることも増えてきましたが、あまり活発に動きすぎないようにしていただくくらいですかね。妊娠後期であればヒールを避けていただくとか、まあ想像がつく範囲だとは思いますが。
–スタッフ側で心持ちは違いますか?
寺田さん:もちろん、いつも以上に新婦様の体調は気にします。ただ、どのお式でもアテンダーというスタッフが新婦様には常に付き添っているので、態勢としてはあまり変わらないかもしれません。
–もともと「どんと来い」なんですね。
寺田さん:あとお伝えできることといえば、妊婦さんは和装の方が着やすいし、疲れないです。ドレスからのお色直しもあきらめる必要はありませんよ。
–よかった。何も心配する必要はなさそうです!
寺田さん:よかったです。
–今、そういったご予定があるのかしら?って思ったでしょ。今のところまったくないです。
寺田さん:前回の取材もそうでしたから、予想はできました(笑)。
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テラスグランツ
✍️書いた人
安斎 高志(あんざい・たかし)
コピーライター、編集者、映像ディレクター。合同会社案在企画室CEO(ちょっとイイこというおじさん)。二児の父。もしもに関する想像力のたくましさは極めつけの折り紙つき、かつ保証つきの太鼓判つき。