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もしも「ブラック企業」に転職してしまったら?

✍️ 小林 拓水

もしも度:😢😢😢

今や転職は当たり前の時代。何を隠そう、僕自身これまで3回もの転職を経験してきた。幸いどの会社も人に恵まれた素敵な組織ばかりだったけれど、もし「ブラック企業」に入ってしまっていたら今頃どうなっていたんだろう?そして、もし将来新しい会社に入社することになったとき、その組織が「ブラック企業」だったら……?

そんな不安が湧き上がり、話を聞いたのは求職者のキャリア支援や企業の人事コンサルティングを数多く手掛けてきた”人と組織のスペシャリスト”株式会社IKI&IKI代表取締役社長・橋本芳裕さん。

「ブラック企業」の見極め方と、もしも転職してしまったときの心構えについて聞きました。

そもそも、どんな会社が「ブラック企業」?

ーーもし「ブラック企業」に入ってしまったら、と考えると不安なんです。

橋本さん:たしかにそんな不安を感じる方は多いように思います。ただ、「どこからどこまでが『ブラック企業』なのか」の線引きって難しいんですよね。たとえ同じ環境でも、本人の捉え方次第でブラック企業になったり、ならなかったりしますから。

ーーと、いいますと?

橋本さん:たとえば「とてつもなく高いノルマを設定されて朝から深夜まで働きづめ。休日も少なくてお給料も安い」という状況だと、たしかに追い詰められてしまう人が多いけれど、中には活き活き働けてしまう人もいる。結局、「ブラック企業」の基準って、働いている本人が納得しているか・いないかなんです。

ーーたしかに「とにかく早く実力をつけたい!」という人や「自分を追い込むのが好き!」なんて人もいるかもしれないですね。

橋本さん:とはいえ「支払われるべきお金が支払われない」「ハラスメントが横行している」といったコンプライアンス違反は別問題です。法令遵守できていない状況は本人の納得以前に企業の社会的責任に反していますから。

その会社、ホントに大丈夫?応募・選考段階で見極めるポイント

ーーでも、「とてつもなく高いノルマを設定されて朝から深夜まで働きづめ。休日も少なくてお給料も安い」みたいな環境は僕には厳しいかもなぁ。

橋本さん:そういった環境が自分にとっての「ブラック企業」だと思ったら、そもそもまず入社しないことですよね。そのためには基本的なことですが、求人内容を確認しましょう。求人サイトには少なくとも年間休日は掲載されていますし、残業時間も紹介されているケースがありますから。私の感覚だと年間休日が120日以上あれば、比較的休みは取りやすそうな職場だと思います。

ーーお給料に関してはいかがでしょう?たとえめちゃくちゃ忙しかったり休日が少なくてもお給料が高ければ納得できる、という人は少なからずいると思うんです。

橋本さん:たとえば「月給20万円〜80万円。実力次第で高収入も可能。未経験歓迎」のように募集対象も、給与幅も、極端に広いケースは慎重に検討した方がいいかもしれないですね。もともと実績やキャリアがあれば成果を挙げやすく高報酬を得られる可能性はありますが、未経験から挑むとなるとそう簡単には成果は挙げにくい。淘汰されやすい環境だと思います。

ーーなるほど。あと労働条件や給与面は求人内容で確認できるとして、ハラスメントや理不尽な待遇格差などのコンプライアンス違反ってどう確認したらいいんですかね?なかなか求人サイトだけではわからないと思うんですが……。

橋本さん:今は転職者の口コミサイトなどもありますから、選考を受ける前に確認しておくのは基本。あとは面接だけで判断しないことですね。企業の顔でもある採用担当は、印象のいい人を配置するケースが多いですから。たとえ面接で「いい会社だな」と感じたとしても、念のため職場見学させてもらうことをおすすめします。

ーー実際に働く現場を確認する。

橋本さん:はい。たとえば執務エリアに入ると全員が一斉に起立して大きい声で挨拶をしてきたら規律が厳し過ぎて個人の事情を汲んでもらえないかもしれない。働いている人がみんな沈んだ様子だったら何か組織に問題があるのかもしれない。働く現場を見ることで「ちょっと危ないかも?」という違和感に気づきやすくなります。

それでももし「ブラック企業」に入ってしまったら?

ーーそれでも、万が一「ブラック企業」に入ってしまったらどうすればいいんでしょう?

橋本さん:まずは無理しないこと。自分の心身のことを考えて「これはマズい」と感じたら逃げるのが第一です。

ーーとはいえ、すぐに会社を辞める決断ができない人もいると思うんです。本当は心身ともに疲弊しているんだけどそのことに気づかなかったり、実は理不尽なことが起きているんだけど無理矢理自分を納得させようとしていたり。

橋本さん:たしかに冒頭で説明した「本人が納得しているかどうか」というブラック企業の基準で考えると「まったく納得していない」と「十分納得している」の間に「なんとなく違和感を持っている」という状況はあるでしょうね。自分がそんな”グレー”の状態にいると気づいたら、まずは外部の人に相談してみるといいと思います。

ーー自分だけで考えない、と。

橋本さん:友達でも、家族でも、新しく中途入社してきたばかりの人でもいい。「それってハラスメントじゃないの」「相当無理しているから辞めてもいいと思う」など客観的な指摘をもらえたら「ブラック企業」かどうか自覚しやすくなると思います。
私が相談に乗った方の中には、休日に娘さんと遊んでいるときに「パパ、元気出して」と言われたことで自分が無理をしていると自覚できた人もいました。その方は先輩との人間関係で相当追い詰められていたんです。

ーー僕も娘にそんなこと言われたら泣いてしまうな……。

まず自分の心身を大切に。あなたにとって”いい会社”はたくさんある!

ーーちなみに辞める決断が難しいもうひとつの理由として「その後の転職が難しくなるんじゃないか」という懸念もあると思うんですが、いかがでしょう?

橋本さん:再転職については、それほど心配する必要はないですよ。そもそも今は売り手市場ですし、世の中に”いい会社”はたくさんありますから。

ーーでも、早期退職すると履歴書に傷がつくと言いますし、転職の面接で必ず「なぜ前職を退職したのか」って聞かれますよね……?

橋本さん:そこは素直に状況を説明したらいいと思います。「こんな環境で、こんな人物からこんな発言を受けたため、そのまま働き続けることにリスクを感じた」など。コンプライアンスに違反していたり、異常な負荷がかかっていたり。正当な理由で退職した人をネガティブに捉える企業は少ないですよ。

ーーそこまで早期退職を恐れて、会社にしがみつく必要はないんですね。

橋本さん:我慢してしがみつくよりも、まずは自分の心身を守ることを優先してください。どうしても自分で退職を切り出すのが難しければ、最後の手段として退職代行サービスを使ってもいい。繰り返しますが、世の中には”いい会社”もたくさんありますから!

ーーすぐに切り替えて次の会社を探せばいいのか。何より自分の健康を第一にしたいと思いました。今日はありがとうございました!

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✍️書いた人

小林拓水(こばやし・たくみ)

「toishi」という屋号で活動しているコピーライターです。1990年生まれ。長野と東京を行ったり来たりしながら暮らしています。パンが大好き。