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うまくリアクションができる大人になりたい。
相手の発言にユニークなコメントを返す知人を見てうらやましく思い、状況が変わっても臨機応変に対応していく仕事仲間を見て尊敬の念を抱いている。
どうしたら、そのようにうまくリアクションを取れるようになるのか。そう考えていた矢先、最適な存在が近くにいることに気づいた。わが家の3歳児だ。
大人の常識にとらわれない彼女の無茶振りに応え続ければ、きっとリアクションも上手く取れるようになるはず。早速、最近自分のことを「ぷりこ」と呼び始めた3歳児に近づいてみた。
33歳のメガネ男子が、地球を守る「キュアメガネ」に
筆者:今日は、なんでも要望を言ってください。
娘氏:じゃあ、パパは「キュアメガネ」になって。あたしは「きゅあぷりこ」になるから。
筆者:あの国民的人気アニメの主人公になるんですね。
娘氏(以下、きゅあぷりこ):かいぶつが来たぞ!キュアメガネー!
筆者(以下、キュアメガネ):(いきなり戦闘シーンが始まった!)わ、わーー!
きゅあぷりこ:そしたら、かいぶつがガブッってするの。
キュアメガネ:あ、演出も担当されるんですね。ガブガブ…お腹を食われた〜!
きゅあぷりこ:ちがう!!お腹じゃなくて、あごを食べられちゃうの!
キュアメガネ:あご…?めっちゃピンポイントだ。
きゅあぷりこ:はやくー!
キュアメガネ:あごを食われる〜〜ガブガブ。
きゅあぷりこ:キュアメガネがたいへんだ!変身しないと!
キュアメガネ:(今まで生身でかいぶつと戦ってたの!?)
きゅあぷりこ:すりー、つー、わん!ピララララ〜〜〜……地球を守る!キュアぷりこ!
キュアメガネ:きゅあぷりこ、たすけてくれ〜〜!
きゅあぷりこ:キュアメガネも変身してよ。
キュアメガネ:あ、はい!すみません。スリー、ツー、ワン!ピララララ〜〜〜……地球を守る!キュアメガネ!
きゅあぷりこ:そしたら、またかいぶつに食べられるの。
キュアメガネ:は、はい!(せっかく変身したのに!)
戦闘現場で取り出した体温計
キュアメガネ:うわ〜〜あごを食べられる〜〜(ちょっと無茶振りに応えるのも疲れてきたな)。
きゅあぷりこ:やめろーかいぶつ!キュアビームだ!!それー!
きゅあぷりこ:だめだ〜!キュアバリアー!それー!
キュアメガネ:うう……(ちょっと今のうちに休憩しておこう)。
きゅあぷりこ:だいじょうぶか!キュアメガネ!
キュアメガネ:やられた…動けない……。
きゅあぷりこ:ちょっとまってて!
キュアメガネ:(なんだ…?)
きゅあぷりこ:これで、おねつをはかります!
キュアメガネ:あご食われているのに!?
きゅあぷりこ:さんじゅうろくどはちぶ!たいへんだ!
キュアメガネ:いたって平熱。
きゅあぷりこ:もしもし(聴診器を当てること)もやります!うーん……これは鼻水だ!
キュアメガネ:めちゃくちゃ軽症。
きゅあぷりこ:ちっくん(注射のこと)もしますね!チクッ!
キュアメガネ:わ〜!いた〜い!
きゅあぷりこ:お鼻くりくり(PCR検査のこと)もしますね。くりくりくり!これで治ったぞ!
キュアメガネ:お鼻くりくりでは治らんが!しかも、検査は最初にやろうな!!
きゅあぷりこ:そしたら、いくよ!キュアメガネ!きゅあきゅあハイパーすとーむ!
キュアメガネ:え〜〜い!ハイパーすとーむ!!!
まとめ
3歳児の無茶振りに応えた先に待っていたのは、33歳にして、あの国民的アニメのヒーローガールを演じる世界線だった(ほぼかいぶつにあごを食われただけだったが)。
無茶振りの嵐から1歩引けば、医療セットを持ち出して診察するという、これまでのアクションアニメでは決して見ることがなかったシーンが生まれたのも痛快だった。
これまで見ることがなかった風景や感覚を得るために、たまには3歳児の無茶振りに応えることもいいかもしれない。
✍️書いた人
小林拓水(こばやし・たくみ)
「toishi」という屋号で活動しているコピーライターです。1990年生まれ。長野と東京を行ったり来たりしながら暮らしています。パンが大好き。